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最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)402号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

記録を調査すると、本件の上告趣意書差出期間の最終日の前日に當る昭和二十三年六月六日に原審辯護人の瀬戸藤太郎名義で上告趣意書と題する書面が當裁判所へ差出されたが、被告人から同人を當審における辯護人に選任する旨の書面は同月十七日に至って始めて差出されたことが明かである。上告趣意書を差出すべき法定期間を經過した後に差出された辯護人選任届によってはその以前に差出された辯護人名義の上告趣意書を追完してその差出を有効とすることができないことは當裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一二九號同年六月十二日第二小法廷判決)。されば本件においては上告趣意書を差出すべき法定期間内に上告趣意書が差出されなかったことに歸着するので刑事訴訟法第四百二十七條により主文のとおり決定する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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